実行委員会挨拶 GREETING

世界は今、地球温暖化による気候変動という大きなリスクの増大に直面しています。世界中の名だたる再保険会社が東京・横浜地区の自然災害リスク評価を世界1ハイリスクだと公表し、そのリスク指数は第2位のサンフランシスコの約4倍にもなります。土木学会の「レジリエンス確保に関する技術検討委員会」が行った東京湾巨大高潮の被害想定では、その浸水エリアは東京都17区212㎢に及び昼間人口約400万人を擁し、その被害額は約115兆円(14か月累計)に及ぶ国難とも言うべき大災害を予測しています。また、東京首都直下地震では経済被害731兆円(20年累計)、資産被害47兆円、財政的被害77兆円(20年累計)と推計しています。

荒川放水路は通水から100年が経過し、これまで100年間堤防決壊したことがなく首都東京を水災害から守ってきました。荒川放水路は治水の要ですが、流域の社会経済の発展や人口の増大により、現在では大きな水害リスクを抱えています。さらに経済の高度成長期に工業用水を目的に大量の地下水を汲み上げたために発生した地盤沈下により、いわゆる海水面以下というゼロメートル地帯に暮らす人口は250万人に達しています。

東京都は今、都市として継続して存続するために大きな5つのリスクを抱えています。「風水害、地震、火山噴火、電力・通信等の途絶、感染症」です。このリスクを取り巻く様々な課題を、地球温暖化、海面上昇、台風の大型化、高台まちづくり、都市構造の大変革、高潮水門、調整池・地下調整池、放水路・地下放水路、救急・災害医療、緊急時医療体制の確保など広くとらえなければなりません。今すぐ行動を起こし、私達の次の世代に50年後、100年後の安心できるくらしを確実にしこの東京を手渡ししなければなりません。

東京都はこの未曽有の大災害を直視して令和2年「災害に強い首都「東京」形成ビジョン」、令和3年「TOKYO強靱化プロジェクト」を公表し、2015年国連防災会議で示された「事前防災」に本格的に対応すべく今後の10年間で約7兆円、2040年代までで約17兆円の強靭化予算を見込んでいます。

関東大震災から100年、明治43年の東京大水害の再来を防ぐために建設された荒川放水路通水から100年間首都東京の安全を守ってきた荒川放水路が節目を迎える今、東京が都市として強靱となり持続していくことは、日本のみならず世界の平和と経済にとって欠くべからざる重要な責務です。

これまでの100年間首都東京は大災害から幾度となく再生してきました。これからの100年もさらに未来永劫、首都東京が発展していくためには、増大し続ける危機への新たな防御策への展開が必要です。そこで国内はもとより世界中の知見を集め、この国難に立ち向かうために「100年後の安心のためのTOKYO強靱化世界会議」を開催します。

そこで「水都東京・未来会議」「NPO法人あらかわ学会」「市民防災まちづくり塾」は、志を共にしこの国際会議を実施するために「100年後の安心のためのTOKYO強靱化世界会議実行委員会」を結成することにいたしました。

竹村 公太郎

 

100年後の安心のためのTOKYO強靱化世界会議実行委員長

竹村 公太郎

 

土屋 信行

 

事務局長

土屋 信行

 

畔柳 昭雄

 

実行委員会監事

畔柳 昭雄